〜スキー教程P.20 Chapter1 2 自然で楽なスキーのコンセプト 1)「重さ」で滑る〜
 
物が動くと言う事は、その物に何らかの力が加わる、と言う事(これは決まり)である、と理解する必要があります。「不安定と安定」の図では、右側の状態から左側の状態にする、すなわち左側に動いたので、右から左(←)に力が加えられた、となります。

なお、慣性系で話を進めています。
つまり、この図(もの)を外側から眺めています。

すると、この右から左(←)への力が、重力によるものかと言うと、否です。
なぜなら、重力は、鉛直方向(真下)に向いているからです。

それなら、最初から左図の状態であれば、ものが左に倒れながら重心が左に進むのでは?と反論されるかもしれません。しかし、ものの角と床の摩擦が0であれば、重心がすとんと真下に落ち、ものは右側に移動しますので、左に進む事ができません。摩擦が0でなければ、そこには右から左(←)の力が生じます。

と言うわけで、最初の説明から間違っているので、その後、全て間違っていると言うわけです。(広義に解釈して)重さで滑る事ができるとすれば、フォールライン方向のみです。SAJの自然で楽なスキーは、直滑降のみでしょうか(笑)

実際に上の図にスキーヤーをあてはめてみましょう。
今、水平な雪面にスキーを履いた人が直立しています。そして、ひょいっと足首を前屈させ、図のように前に傾いてみます。実際がスキー教程のとおりであれば、スキーヤーは推進力を得て前進し始めます(笑)。現実にはスキー動きませんね。ところがSAJのスキーは動くんです。
おぉ、なんだかセグウェイみたい!!!SAJのスキーはセグウェイみたいな機能が組み込まれているようです

スキーの上に乗っている人がいくら体を動かしても、それだけでは「内力」であって、スキーの軌道を変える事ができないということですね。
スキーの滑降、回転は、「不安定」によって生み出される
重力による落下運動によって生起されると言える???
まず、根本的におかしいのは、落下、つまり、斜面じゃないとターンできないって話にしちゃってることでしょう。原因の一つは、人間のバランス・バランスの崩れ(とそれに伴う体軸の傾いていく動き)とスキー板が雪面から力(抵抗)を受けることによる動きの変化を、ごっちゃにしていることでしょうか。

例えばこんな順序で考えれば教程のような間違いは起こらなかったかもしれません。
・板が雪面からどういう力を受けるか
・上に人間が乗ったらどうなるかを、単純化して考える
・人間の動作がどう影響するかを考える

水平面理論ではスキー板が雪面からどういう力を受けるかが考慮されていませんのでそこから考えていきましょう。
(図A-1図A)


※スキー全体に働く雪面抗力(図A-1) を全部合成して一つの力として表します。(図A)↓


斜滑降の復習です。前回の教程改訂時(2003年10月)にUPしたHP『水平面理論を考える』にも書きましたが、水平面にスキーがフラットな状態が斜滑降の条件ではありませんので、新教程P.21の図や【〜スキー板の縦軸・横軸と「水平面」がつくる面(フェース)をコントロールし〜】といった記述はすべてデタラメであるといえます。簡単におさらいしてみましょう。
青が重力、赤が雪面抗力。スキーは、雪面上を運動する(束縛される)と考えると、雪面に沿った方向での力を考えればいい。
正面から見て、雪面抗力の分力(黄色)>重力の分力(黒) なら、山回り
雪面抗力 = 重力の分力 なら、斜滑降
雪面抗力 < 重力の分力 なら、斜滑降を維持できずズレ落ちる(谷回りではない) ただし、ズレ落ちることで雪面抵抗が大きくなるので軌道の下がった斜滑降に移行することになる。

ちょっと発想を変えてもらって、まっ平ら(斜度のない平面)で、スキーが勢いだけでいつまでも滑っていると考えてみましょう。で、上で人が動くとめんどくさいんで、スキーだけ(スキーに全ての重さが入ってる)と考えます。

板が水平(左右どちらにも傾いていない)なら、スキーが沈み込む分、スキーの前半部の滑走面は雪を押しつぶし、前半部のエッジは左右均等に雪面を削ります。雪質にもよりますが、スキーの全長のどこかで、雪はそれ以上押しつぶされなくなり、しっかりした跡が残ります。いってみれば、カービング状態。

板がまっすぐ進むのは、スキーが受ける抵抗が左右で釣り合っているから。(図1図2)


板を傾けてみます。
止まっている状態で板を傾けてもわかると思いますが、板が水平な状態に比べると雪面への沈み込みは大きくなります。でも、ある程度沈むとそれ以上は沈まなくなります。板が前方に動いていても同様で、水平な時に比べて沈み込みは大きくなるかもしれませんが、いつまでも沈みつづけて行くわけではありません。水平な時よりは深く沈みますが、一定の深さで進むことになります。

このとき、板の受ける抵抗はどうなっているでしょうか?

右に傾けたとしたら、右側のエッジが深く沈んでいること(雪面に食い込んでいる、でもいい)になります。そうすると、右側のエッジが左よりも多く雪面を削ることになり、そちら側の抵抗が大きくなることになります。また、スキー滑走面前半部が雪を押しつぶす方向も真下ではなく左斜め下方向になるため、滑走面が雪を押しつぶすことによる抵抗も真上ではなく、右斜め上になり、その水平成分により右向きの力を受けることになります。(図3図4)


もちろん、これらは、全て抵抗が力の源なので、勢いだけで滑っているとそのうち止まってしまいます。が、モデルを考える時は、まずは、なぜかしら動き続けるとして力の働き方を考えます。

■水平面理論スキー板の輪切り図


教程P.21にあるスキー板を横軸で輪切りにした図(^^)ですが、この赤い線で書かれた重力のスキー横軸成分なるものは市野教授のロボットによる実験により考えられたものですが、『水平面理論を考える』HPの「2006シーズン指導員研修会について」のページで説明させていただいたように、実験結果を間違って考察してしまったまったくのデタラメです。
常識で考えれば下記図のようになるでしょう。そもそもスキー板という長さのあるものが斜面上を移動していくわけですからこのような『輪切り』断面図での解析自体がナンセンスといいますか無意味ですね。力学無知な方を騙す手段としか思えませんね。
こちらのページも参考にしてみてください⇒これで貴方も水平面理論のデタラメを理解できる!?『水平面理論Q&A』





suiheimen@yahoo.co.jp

Copyright(c)2009 AL7818 All Rights Reserved